熊本大学 産業ナノマテリアル研究所 工学部 材料・応用化学科/大学院自然科学教育部 材料・応用化学専攻 無機材料
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研究室紹介

INORGANIC MATERIAL

 本研究室では層状体の溶液中剥離により作製可能なナノシートの研究を行っています。長年の研究により得られた剥離技術により、多種多様のナノシートを合成可能です。また、原子ドープ、化学修飾などの手法により、ナノシートの特性を変える技術も有します。得られたナノシートを利用し、触媒、電池、多機能膜、センサーなどの用途開発を行っています。


無機ナノシート

 金属酸化物、水酸化物、酸窒化物ナノシートを合成しています。合成したナノシートは、光触媒やVOC分解触媒に代表される触媒分野、リチウムイオン電池の電極など、高比表面積が重要となる応用分野へ利用しています。また精密な構造設計と最先端の評価技術により、触媒の活性点の特定など、バルク体では不可能とされていた現象発現のメカニズム解明も行っています。

水酸化ニッケルナノシートの合成法と走査型顕微鏡像

酸化グラフェン

 酸化グラフェンはグラフェン骨格に多くの酸素官能基を持った構造をしており、天然グラファイトから溶液プロセスにより作製可能な実用性の高いナノシートです。また、イオン伝導などの重要な機能性を示すことから、次世代社会を支えるナノ材料としての発展が期待されています。我々は、国内で最も早い時期(2007年ごろ)から酸化グラフェンの研究に取り組み、研究の進展に貢献しております。研究活動の基盤となるのが、図で示した酸化グラフェンの加工技術であり、我々は酸化グラフェンを使用用途に応じて自由に設計することが可能です。実際にこれらの技術を組み合わせることで、革新的な電池や触媒、センサー等を開発しています。

酸化グラフェンの構造と燃料電池への応用

ナノシートから構築する多機能膜

 ナノシートをボトムアップ的に積み上げ、ナノレベルで性質を制御した多機能膜の開発を行っています。われわれは、多種多様なナノシートを合成することが可能で、それに加え、様々な積層プロセスにより、インターカレーションやヘテロ積層を行うことができます。これにより、「ナノシート設計×積層プロセス設計」の組み合わせにより、目的に沿った多機能膜の設計を無限の組み合わせにより実施することが可能です。現在では、電池の固体電解質、逆浸透膜、イオン分離膜などを出口とした応用研究を進めています。

分析装置(X線光電子分光装置)とその測定結果

材料の特性評価・分析

 材料の特性を理解するためには形状、化学組成、電子構造を原子・分子レベルで知ることが重要です。このために、走査型プローブ・電子顕微鏡により、作製した材料の結晶や分子の構造を直接観察し、分光法等や理論計算を駆使して化学結合状態や電子状態をナノスケールで明らかにします。

分析装置(X線光電子分光装置)とその測定結果